飲食店のキャッシュフロー管理術|利益が出ていても倒産する3つの落とし穴と対策
「黒字なのに資金が足りない」は飲食店あるある。利益とキャッシュの違い・減価償却の仕組み・借入との付き合い方を具体的な数字で解説します。
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「毎月それなりに売れているはずなのに、気づいたら口座がギリギリ…」
そんな経験をしたことはありませんか?実は、会社や店舗が潰れるのは「赤字になったとき」ではありません。現金がなくなったときです。利益がマイナスでも現金さえあれば事業は続けられますが、利益が出ていても現金が尽きれば即アウトになります。
飲食店経営において、損益計算書(PL)だけを見て安心するのは非常に危険です。この記事では、キャッシュフローの基本と、飲食店オーナーが陥りやすい落とし穴を具体的な数字とともに解説します。
落とし穴①「利益=現金」ではない|PLとキャッシュの違い
損益計算書(PL)は「売上-費用=純利益」というシンプルな構造です。しかしPLに計上される「費用」の中には、実際にはもうお金が出ていかない費用が含まれています。その代表が「減価償却費」です。
たとえば内装工事に1,800万円かけたとします。この1,800万円は工事が完了した時点でほぼ全額が現金として出ていきます。しかしPL上では、耐用年数15年にわたって毎月約10万円・年間120万円ずつ費用として分割計上されます。
つまり、お金はもう出ていったのに、費用計上はこれから15年かけてじわじわ行われるわけです。
このとき、営業利益が年間360万円だとすると——
営業キャッシュフロー = 営業利益360万円 + 減価償却費120万円 = 480万円
PLを見ると「360万円の利益」ですが、実際の手元に残るキャッシュは約133%多い480万円です。減価償却費はすでに払い終えた費用なので、現金は減らないのです。
この感覚を持てるかどうかが、資金繰りを安定させる第一歩です。
落とし穴②「キャッシュは増えた」が「財務が悪化している」ケース
銀行から500万円借り入れた月は、口座の残高がドンと増えます。「よし、余裕ができた!」と安心してしまいがちですが、借入はキャッシュを増やすと同時に負債も増やします。
キャッシュフローには大きく2つの種類があります。
- 事業キャッシュフロー(営業CF):本業でどれだけ現金を生み出しているか
- 財務キャッシュフロー(財務CF):借入・返済・出資など資金調達の動き
借入によって財務CFがプラスになっても、営業CFがマイナスのままでは根本的な問題は解決していません。借りたお金はいずれ返さなければならないからです。
重要なのは、借入をした場合は返済スケジュールに合わせた黒字化目標を明確に設定すること。「いつまでに月次黒字にして、毎月いくら返済できる体制にするか」を事前に計画しておかないと、気づいたら返済だけで手一杯になります。
落とし穴③「期末の現金」だけ見て安心する|内訳を見ない危険
先ほどの内装工事の例で、もう少し数字を追ってみましょう。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 開業時の手持ち現金 | 3,000万円 |
| 内装工事費(初期支出) | △1,800万円 |
| 1年間の営業CF | +480万円 |
| 1年後の現金残高 | 1,680万円 |
一見、1,680万円残っているように見えます。しかし開業前の3,000万円と比べると△1,320万円。工事費の返済や追加の設備投資が重なれば、あっという間に資金ショートします。
月次で「営業CF(営業利益+減価償却費)」と「実際の口座残高」を照合する習慣をつけることが大切です。数字が合わない場合は、どこかで予期せぬ現金の流出が起きているサインです。
具体的な確認ポイントはこちらです。
- 毎月末の口座残高を記録する
- 営業利益+減価償却費を毎月計算してメモする
- 上の2つの数字が大きくずれていないか確認する
会計ソフトがなくても、Excelや手書きで構いません。まず「見る」習慣をつけることが最優先です。
安定したキャッシュフローをつくる最短ルート
キャッシュを安定させるには、シンプルに言えば「入ってくるお金を増やし、出ていくお金を減らす」しかありません。
飲食店において、最もコスパよく売上を増やせるのは新規集客ではなく既存顧客の再来店です。新規のお客さまを1人呼ぶには広告費・販促費がかかりますが、一度来てくださったお客さまにもう一度来ていただくコストは、はるかに低く抑えられます。
再来店率が月に数%上がるだけで、月次の売上は着実に積み上がります。そしてその積み重ねが、安定したキャッシュフローの土台になります。
まとめ
- 飲食店が倒産するのは「赤字」ではなく「現金がなくなったとき」
- 利益とキャッシュは別物。減価償却費を理解することで実態が見えてくる
- 借入はキャッシュを増やすが負債も増やす。返済計画とセットで考える
- 月次で「営業CF」と「口座残高」を照合する習慣が資金ショートを防ぐ
- 安定したキャッシュを生むには、コストの低い「既存顧客の再来店」が鍵
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