原価率30%以下でも赤字になる理由|飲食店が本当に見るべき「トータルコスト」の計算法
原価率が低いのに利益が出ない飲食店が見落としているのが「トータルコスト」の視点。人件費・廃棄ロス・調理時間を含めた本当の収益性の見方を解説します。
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この記事で学べること
「うちのランチ、原価率は25%なのになぜか儲からない…」
こんな悩みを抱えているオーナーさんは、実は多いです。原価率をきちんと管理しているのに利益が出ないのは、原価率以外のコストを見落としているからかもしれません。
この記事では、「原価率だけで儲かるメニューを判断してしまう落とし穴」と、人件費・廃棄ロス・調理時間を含めたトータルコストの考え方をひとつに絞って深掘りします。この視点を持つだけで、メニューの収益性の見え方がガラリと変わります。
原価率が低くても赤字になる、その理由
まず、原価率とは「売上に対する食材費の割合」のことです。
原価率 = 食材費 ÷ 売上 × 100
飲食店の目安は原価率30%以下とよく言われます。たとえば税込1,000円のランチなら、食材費は300円以下が理想、という計算です。
ここで問題なのは、「原価率が低い=儲かるメニュー」という思い込みです。
たとえば、こんな2つのメニューを比べてみましょう。
- メニューA:パスタランチ(売価1,000円 / 食材費230円 / 原価率23%)
- メニューB:日替わり定食(売価1,000円 / 食材費280円 / 原価率28%)
原価率だけ見ればメニューAの方が優秀です。でも、パスタは仕込み+調理に15分かかり、日替わり定食は大量仕込みのおかげで1食あたり5分で提供できるとしたら、どうでしょう?
時間あたりに稼げる金額(=回転効率)が逆転することがよくあります。原価率という「1品あたりの数字」だけを見ていると、こうした大事な事実を見落としてしまうのです。
「本当の原価」を構成する4つの要素
食材費だけが原価ではありません。メニュー1品の「本当のコスト」は、次の4つで成り立っています。
① 仕込み・調理にかかる人件費
時給1,200円のスタッフが1品を仕込み+調理するのに15分かかるなら、その人件費は300円です。食材費230円と合わせると、実質的なコストは530円になります。原価率で見ると53%——実はかなり高コストな一品だったわけです。
② 廃棄ロス
食材を仕入れて余らせてしまう場合、廃棄分のコストもメニューに乗ってきます。たとえば仕入れた食材の20%を廃棄しているなら、実質の食材費は1.25倍で計算する必要があります。
③ 調理時間による機会損失
厨房はひとつです。手間のかかるメニューを作っている間は、他のオーダーをさばけません。ランチタイムのように時間が限られている場合、「1時間に何品提供できるか」がそのまま売上の上限になります。
④ 食材の歩留まり
野菜の皮を剥いたり、魚をおろしたりすると、可食部は仕入れた量より少なくなります。これを「歩留まり」と言います。100gの仕入れで実際に使えるのが70gなら、実質的な食材単価は約1.4倍になります。
実践:トータルコストで「本当に儲かるメニュー」を見極める
では、実際にどう計算すればいいか。まずはシンプルな計算式から始めましょう。
【簡易トータルコスト計算式】
トータルコスト = 食材費(歩留まり・廃棄ロス込み)+ 調理人件費
実質粗利益 = 売価 - トータルコスト
先ほどの2メニューで実際に計算してみます。
パスタランチ(原価率23%)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 食材費(廃棄ロス15%込み) | 265円 |
| 調理人件費(15分 × 時給1,200円) | 300円 |
| トータルコスト | 565円 |
| 実質粗利益 | 435円 |
日替わり定食(原価率28%)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 食材費(廃棄ロス5%込み) | 294円 |
| 調理人件費(5分 × 時給1,200円) | 100円 |
| トータルコスト | 394円 |
| 実質粗利益 | 606円 |
原価率が高く見えた日替わり定食の方が、1品あたり171円も多く利益が残る計算です。
もしランチタイムに50食提供するなら、その差は1日あたり8,550円、月25営業日で約21万円にもなります。この計算を知っているかどうかだけで、経営の結果は大きく変わります。
まずは主力メニュー上位3〜5品だけで構いません。 食材費・調理時間・廃棄率の3つを書き出して、この計算を試してみてください。「原価率では気づかなかった意外なメニュー」が見えてくるはずです。
まとめ
原価率は大切な指標ですが、それだけで「儲かるメニュー」を判断するのは危険です。人件費・廃棄ロス・調理時間を加えた「トータルコスト」で考えることで、本当に利益を生むメニューが初めて見えてきます。まずは主力メニュー数品だけでもこの計算を試してみると、意外な発見があるはずです。



