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居酒屋倒産が過去最多ペース——FL比率55〜60%を守り、負のスパイラルを断ち切る経営改善の手順
売上・経営改善

居酒屋倒産が過去最多ペース——FL比率55〜60%を守り、負のスパイラルを断ち切る経営改善の手順

人件費削減が招く売上減少の悪循環を数字で解説。FL比率・利益率の目安と、居酒屋オーナーが今すぐ取るべき経営改善の具体策をわかりやすくまとめました。

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居酒屋倒産が過去最多ペース——FL比率55〜60%を守り、負のスパイラルを断ち切る経営改善の手順

「売上が落ちてきたから、まず人件費を削ろう」

そう判断した経験のある飲食店オーナーは少なくないはずです。しかしこの一手が、さらなる売上低下を招く"負のスパイラル"の入口になっているケースが後を絶ちません。

2020年上半期だけで居酒屋・ビアホール系の倒産は100件を超え、年間200件ペースという過去最多水準が予測されました。居酒屋・焼鳥系、ラーメン、西洋料理系、日本料理系の4業態はいずれも記録的な倒産数に迫っています。この記事では、その背景にある構造的な問題と、今日から実践できる経営改善の手順を具体的な数字とともに解説します。


人件費を削るほど客が離れる——負のスパイラルとは

売上が落ちると、多くのオーナーが最初にメスを入れるのが人件費です。短期的にはコストが下がるので「正解」に見えます。しかし実際には次のような連鎖が起きます。

  1. スタッフの数・質が落ちる
  2. 料理の提供スピードや接客の丁寧さが低下する
  3. 顧客満足度が下がり、リピーターが来なくなる
  4. 売上がさらに落ちる
  5. 「もっと人件費を削らないと」と判断してしまう

これが負のスパイラルです。問題は「人件費が高いこと」ではなく、「売上に対してコスト構造全体のバランスが崩れていること」にあります。人件費だけを見て削ると、売上を生み出す源泉まで削ることになるのです。


まず把握すべき3つの数字——FL比率・人件費率・利益率

経営改善の出発点は、自店のコスト構造を正確に知ることです。最低限、次の3つの数字を月次で把握してください。

① FL比率(食材費+人件費):目安55〜60%

FL比率とは、売上に占める「食材費(Food)」と「人件費(Labor)」の合計割合です。飲食店経営の基本指標として広く使われており、55〜60%が健全な目安とされています。これを超えると、家賃・光熱費・その他経費を払った後に利益が残りにくくなります。

② 人件費率:目安26〜29%

人件費単独では、売上の26〜29%が健全ラインです。これを大きく下回る水準まで削ると、サービスの質が維持できなくなります。

③ 利益率:目安10〜14%

飲食店の平均的な利益率は売上の10〜14%程度です。月商1,000万円の店舗であれば、手元に残るのはおよそ100〜140万円。この水準を下回っている場合は、コスト構造のどこかに問題があります。

まずは直近3か月分の損益を上記の観点で整理してみてください。「どこが崩れているか」が見えてくるはずです。


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FL比率が悪化しているとき、取れる手は「Fを下げる」「Lを下げる」「売上を上げる」の3つです。人件費(L)を下げる前に、まず「売上を上げる」方向を検討してください。

現場に経営者が入る——新規出店・立て直しの鉄則

経営が傾いた店舗に共通する失敗パターンのひとつが、「オーナーが現場に入らない半端な関与」です。特に新規出店時や事業の立て直し期は、経営者自身が現場に立ち、理念とサービスの文化を直接浸透させることが不可欠です。

スタッフに任せきりにしてしまうと、提供するサービスの水準がバラバラになり、リピーターがつきにくくなります。

人材は「能力」より「人間力・姿勢」で選ぶ

技術は後から身につきますが、姿勢や人間性は変えにくいものです。接客業において、お客様への誠実さや向上心のあるスタッフが1人いるだけで、チーム全体の雰囲気と業績が変わることはめずらしくありません。

逆に、問題行動を繰り返すスタッフを早期に適切に対処することが、チームの転換点になるケースも多く報告されています。

既存客の来店頻度を上げるほうが、新規獲得より費用対効果が高い

新規集客にはコストがかかります。一方で、すでに一度来てくれたお客様に「また来てもらう」仕組みを作ることは、比較的低コストで売上を伸ばせる手段です。

人件費を増やさずに再来店率を高めるには、退店後に自動でフォローメールやクーポンを届けるCRMの仕組みが特に費用対効果の高い選択肢になります。


今日からできる経営改善アクション3ステップ

難しく考えず、まずこの3つから始めてみてください。

ステップ1:直近3か月の損益を整理し、FL比率を計算する 売上・食材費・人件費の数字を並べるだけでOKです。FL比率が60%を超えていれば、どちらのコストが膨らんでいるかを確認します。

ステップ2:人件費削減の前に「メニューと客単価」を見直す 原価率の高いメニューを整理し、売れ筋の利益率を上げることで、スタッフを減らさずにFL比率を改善できる余地がないか検討します。

ステップ3:既存客へのフォロー体制を作る 一度来てくれたお客様が次回来てくれる仕組みを、できるだけ手間をかけずに構築します。スタッフが手動で追いかけるのではなく、仕組みで自動化することがポイントです。


まとめ

居酒屋をはじめとする飲食業態の倒産が増え続ける中、「人件費を削る→サービスが落ちる→客が離れる」という負のスパイラルに陥る店舗が後を絶ちません。

脱出の鍵は、FL比率・人件費率・利益率という3つの数字を月次で把握し、コスト構造の全体像から意思決定することです。そして人を削るより「人を活かして売上を上げる」方向に軸を置くこと。その中でも特に費用対効果の高い施策が、既存客への自動フォローによる再来店促進です。

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