値上げしても客離れしない飲食店の秘訣|ABC分析で利益を残す価格戦略3ステップ
売上はあるのに利益が残らない…そんな飲食店オーナーへ。失敗する店の共通点は「価格設定ミス」。ABC分析を使った値上げ術と客離れ防止の実践法を解説します。
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「値上げしたいけど、お客さんが来なくなったら怖い」
仕入れ価格も光熱費も人件費も上がっているのに、メニューの値段だけが据え置きのまま——そんな状態で踏ん張っているオーナーさんは、今とても多いはずです。
実は、経営がうまくいかない飲食店のほぼ100%が、価格設定に根本的なミスを抱えていると言われています。値上げを「怖いもの」と感じているうちは、そのミスから抜け出せません。この記事では、客離れを最小限に抑えながら利益をしっかり残すための、具体的な価格戦略をお伝えします。
チェーン店と価格で戦うのは「そもそも土俵が違う」
個人店がチェーン店と価格競争をするのは、ほぼ無謀です。理由はシンプルで、コスト構造が根本的に異なるからです。
チェーン店は大量仕入れによる原価圧縮、セントラルキッチンによる人件費削減、スケールメリットによる家賃交渉力など、個人店には絶対に真似できない仕組みを持っています。その土俵で「うちも安くしよう」と戦っても、消耗するだけです。
さらに厄介なのが、安さ目当てのお客さんはリピーターになりにくいという現実です。「安いから来た」お客さんは、もっと安い店ができればそちらへ移ります。価格だけで集客すると、スタッフへの負担は増えるのに売上は安定せず、給料も上げられないという悪循環に陥りがちです。
個人店の強みは、料理のこだわり、店主との会話、アットホームな雰囲気——チェーン店には出せない「人」や「空気感」です。そこに価値を見出してくれるお客さんを大切にする経営こそが、長く続く道です。
ABC分析で「値上げすべき商品」を絞り込む
「値上げ」と聞くと、全品一斉に価格を上げるイメージを持つ方が多いですが、それは客離れのリスクが高く、おすすめできません。正しいアプローチは、売れ筋の絞り込みです。
ここで活用したいのが「ABC分析」という手法です。やり方はシンプル。
- 全メニューの月間売上・注文数を書き出す
- 売上貢献度の高い順に並べる
- 上位20〜30品を「Aランク(値上げ対象)」と定める
メニューが100品あったとして、実際に利益を支えているのは上位20〜30品程度というのはよくある話です。残りの70品は「メニューを豊富に見せるための存在」になっていることも少なくありません。
Aランク商品だけを対象に値上げすれば、変更するメニュー数は少なく済み、オペレーションへの影響も最小限です。お客さんの「値上げ感」も、全品一括より格段に抑えられます。
「基準商品」だけは値上げ禁止。数字で見る効果の差
ABC分析でもう一つ意識してほしいのが、「基準商品」には手を出さないことです。
基準商品とは、お客さんが無意識に「この店の相場」を測るために使っている商品のこと。居酒屋であれば生ビール、定食屋であれば看板の日替わり定食などが典型です。この価格が上がると、他の値上げがなくても「全体的に高くなった」という印象を強く与えてしまいます。
一方で、正しい商品を値上げしたときの効果は、数字を見ると一目瞭然です。
- 1日300杯出るビールを50円値上げ → 月45万円の利益増
- 月100食のマグロの刺身を50円値上げ → 月の利益増は5,000円程度
同じ「50円値上げ」でも、出数によって月の利益への影響は90倍以上変わります。出数の少ない商品をいくら値上げしても、利益にはほとんど響きません。だからこそ、売れている商品にこそ価格改定の意味があるのです。
値上げの「順序」と客離れを防ぐリピーター戦略
最後に、値上げを成功させるうえで多くのオーナーさんが見落としがちな「順序」の話をします。
よくある失敗は「サービスや料理のクオリティを上げてから値上げしよう」という考え方です。気持ちはわかりますが、この順序では永遠に値上げできません。なぜなら、現状の売上から投資する余裕が生まれないからです。
正しい順序は逆です。先に価格を上げて、その価値に見合うサービスや料理を追求していく。
値上げした後に「この価格に恥じない店にしよう」という意識が生まれ、料理もサービスも自然と磨かれていきます。価格に自信を持てると、スタッフのモチベーションも変わってきます。
ただし、値上げを実施する前に必ずやっておきたいことがあります。それが、既存のリピーター顧客との関係を強化しておくことです。
新規のお客さんは価格変更に敏感ですが、あなたの店のことを好きで何度も来てくれているリピーターさんは、適切な値上げを受け入れてくれる可能性がはるかに高いです。値上げ前に来店のお礼やクーポンを届けて「大切にされている」と感じてもらうだけで、値上げ後も変わらず来てくれるリピーターが増えます。
まとめ:値上げは「怖いもの」ではなく「経営の技術」
- チェーン店との価格競争をやめ、個人店の強みで勝負する
- ABC分析で売れ筋上位20〜30品を特定し、その商品だけを値上げする
- 基準商品(ビールなど)には手を出さない
- 値上げ前にリピーターとの関係を強化しておく
値上げは「お客さんに申し訳ない」ことではなく、お店とスタッフを守るための正当な経営判断です。正しい手順で進めれば、客離れを最小限に抑えながら利益を残すことができます。
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