飲食店倒産が5年ぶり4,000件超。今すぐできる3つの生き残り対策
食用油2倍・ゼロゼロ融資返済・光熱費高騰の三重苦が直撃する今、個人経営の飲食店が廃業を避けるための資金繰り・原価管理・リピーター戦略を具体的に解説します。
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2023年上半期、企業倒産件数が5年ぶりに4,000件を超え、14か月連続で前年を上回りました。とくに零細居酒屋の倒産は1〜7月だけで128件と過去最速ペースで、前年同月比53.4%増という数字はコロナ禍を上回る増加率です。
「売上はそこそこ戻ってきたのに、なぜかお金が残らない」——そんな感覚を覚えているオーナーさんは少なくないはずです。この記事では、いま飲食店の経営を圧迫している構造的な問題を整理し、今日から動ける対策を3つお伝えします。
なぜ「売れているのに苦しい」のか?三重苦の正体
いまの経営悪化は、単なる売上不足ではありません。コスト・債務・需要の3方向から同時に圧力がかかっている点が深刻です。
① 原材料の高騰が「売れば売るほど損」を生む
食用油はピーク時に約2倍以上、小麦粉や片栗粉は約2.5倍に値上がりしました。唐揚げ・天ぷら・パスタなど油や粉を多用するメニューは、売値を据え置いたまま数をこなすほど赤字が膨らむ構造になっています。
② ゼロゼロ融資の返済が始まった
コロナ禍に借りた無利子・無担保融資の返済猶予期限が到来し、毎月の返済負担が一気に重くなっています。ある海鮮居酒屋では1,500万円を借りてすでに残高ゼロ、家賃270万円の支払いも猶予中という状況です。売上が回復しても返済と家賃で消えてしまうケースが続出しています。
③ 需要構造そのものが変わった
リモートワーク普及により、平日夜の宴会・接待需要は以前のレベルに戻っていません。「駅近の立地さえよければ客が来る」という前提が崩れ、立地頼みの集客モデルがそのまま機能しなくなっています。
対策①:原価率を「感覚」ではなく「数字」で管理する
飲食店オーナーの多くは、調理や接客などオフェンス面は非常に優れています。一方、数字の管理というディフェンス面が手薄になりがちで、気づいたときには手遅れという「黒字廃業」も実際に起きています。
まず取り組んでほしいのが、月次の原価率モニタリングです。
- 月初に主要食材(特に油・粉類)の仕入れ単価を記録する
- 月末に食材費合計 ÷ 売上合計で原価率を算出する
- 原価率が30%を超えたメニューを洗い出し、価格改定か代替食材への切り替えを検討する
「なんとなく高くなった気がする」ではなく、数字で判断基準を持つことが最初の一歩です。値上げは来店頻度の低下を招くリスクもあるため、客単価5,000〜6,000円を超えるゾーンには特に慎重な検討が必要です。
対策②:「売上」より「手元資金」を見る習慣をつける
売上が回復しているのに資金が底をつく——その原因は、入金と支払いのタイミングのズレにあります。
たとえば、食材の仕入れは現金払い・クレジット払いでも翌月に引き落とし。一方、キャッシュレス決済の入金は数日〜数週間後。売上は上がっていても、支払いが先に来て手元が空になるケースがあります。
対策はシンプルです。簡単な資金繰り表を作ること。
Excelや無料の家計簿アプリでも構いません。「今月いつ・何円入ってくるか」「いつ・何円出ていくか」を2〜3か月先まで書き出すだけで、危険なタイミングが事前に見えます。問題が見えれば、早めに金融機関や税理士に相談できます。何も見えていないと、気づいたときには選択肢がなくなっています。
対策③:宴会・新規頼みをやめ、常連客との関係を資産にする
宴会需要が戻らない、新規客の獲得コストは上がる——この状況で最も安定した収益の柱になるのが、既存のお客様にもう一度来てもらうことです。
新規客を1人獲得するコストは、既存客にリピートしてもらうコストの5倍以上とも言われます。「またあの店に行こう」と思ってもらえる仕掛けを作ることが、広告費をかけずに売上を安定させる最短ルートです。
具体的には次のような取り組みが有効です。
- 退店後のフォロー:帰り際に一言お礼を伝えるだけでなく、後日メールで「またのご来店をお待ちしています」と伝えることで印象が強く残ります
- 来てくれた方への特典:次回使えるデジタルクーポンをお渡しすることで、来店のきっかけを作れます(紙のクーポンと違い管理も簡単です)
- 口コミの自然な拡散:「友人を紹介してもらう仕組み」を作ると、広告費ゼロで新規客が増えます
まとめ:今、飲食店に必要なのは「守りの経営」
三重苦が重なるいまの環境では、攻めの集客より守りの経営が生存を左右します。
- 原価率を月次で数字管理する(感覚ではなく数値で判断)
- 資金繰り表で手元資金を先読みする(売上ではなく現金の動きを見る)
- 既存客との関係を仕組みで維持する(宴会・新規頼みから脱却する)
この3つは、大きな投資なしに今日から始められます。特に③は、一度仕組みを作ってしまえば自動で回り続けるのが大きな強みです。
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