飲食店の店長が知らずにやりがちな違法労務5選|労基署リスクと離職を防ぐ実践対策
休憩中の電話番、開店前準備の無賃、有給拒否……飲食店でよくある慣行が実は違法かも。労基法違反のリスクと今すぐできる改善策をわかりやすく解説します。
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「うちはずっとこうやってきた」——その慣行、実は労働基準法違反かもしれません。
飲食業界では、忙しさのあまり労務管理が後回しになりがちです。しかし「知らなかった」では済まないのが労基法の世界。労働基準監督署の是正勧告を受けてから慌てるより、今のうちに自店の実態を点検しておきましょう。
この記事では、飲食店でよく見られる違法になりやすい慣行を具体的に挙げ、すぐに取れる改善策をお伝えします。
よくある違法労務その1:「休憩中の電話番・来客対応」
ランチのピークが終わり、スタッフが休憩に入ったあとも「電話が来たら取って」とお願いしていませんか?
これは労働基準法第34条違反です。
休憩時間とは「労働者が権利として労働から離れることが保障されている時間」と定義されています。電話番や来客対応をさせている間は、使用者の指揮命令下にある「労働時間」とみなされ、その分の賃金支払い義務が生じます。
休憩室を別に設ける、電話は留守番電話に切り替えるなど、完全に業務から切り離す仕組みを作ることが必要です。
よくある違法労務その2:「開店前準備・朝礼への無賃参加」
開店30分前に掃除、10分前に朝礼——スタッフの勤務開始時刻はシフト通り「10:00」になっていませんか?
業務命令として行っている準備時間は、すべて労働時間です。
「来られる人だけ来ればいい」という任意のものであれば別ですが、事実上の強制であれば労働時間として賃金を支払う義務があります。これがいわゆる「サービス残業」の温床です。
改善策はシンプルです。準備開始時刻をシフトの打刻開始時刻と合わせるか、準備時間を含めたシフト設計に切り替えましょう。
よくある違法労務その3:「アルバイト・パートへの有給拒否」
「うちはバイトだから有給はない」——この認識は完全に誤りです。
労働基準法第39条により、雇用形態に関係なく、6ヶ月以上継続勤務かつ8割以上出勤した従業員には有給休暇が発生します。週1日しか働かないパートスタッフにも、日数の差こそあれ、必ず有給は発生します。
有給付与を拒否したり、存在を周知しなかったりした場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。まず自店の全スタッフの雇用開始日と出勤率を確認し、未付与がないか早急に点検してください。
よくある違法労務その4:「勤務外のLINE即レス強制」と「代替要員は自分で探せ」問題
閉店後や休日に業務連絡のLINEを送り、「すぐ返信して」と求めていませんか?
使用者の指揮命令下にある時間は労働時間とみなされます。深夜や休日のLINE対応を常態化させると、その時間分の割増賃金が未払いになるリスクがあります。連絡は翌出勤日に確認すればよいルールにする、緊急時のみ電話連絡に限定するなど、オフの時間を守る仕組みを作りましょう。
また「休めるなら自分で代わりを見つけて」という文化も問題です。シフトの穴を埋める責任は会社側にあります。 スタッフに代替要員探しを丸投げすることは、安全配慮義務違反につながりかねません。緊急時の連絡フローや応援スタッフのリストを会社側が整備しておきましょう。
今日からできる3つの点検アクション
違法労務は「悪意」ではなく「慣習」から生まれることがほとんどです。まず現状を正確に把握することが第一歩です。
① 勤怠記録と実態の照合
勤怠システムの打刻時刻と実際の業務開始・終了時刻を比べてみてください。開店前準備や閉店後の片付けが「無賃ゾーン」になっていないか確認しましょう。なお、時間外労働の上限は月45時間・年360時間(特例でも年720時間・月100時間未満)と法定されています。
② シフトルールの明文化
「休憩中は完全に業務から離れる」「業務連絡は勤務時間内のみ」「代替要員は店舗側が手配する」——これらをシフト管理ルールとして文書化し、スタッフ全員に周知しましょう。
③ 有給付与状況の棚卸し
全スタッフの雇用開始日・週所定労働日数・有給付与日数を一覧化します。未付与や未周知のケースがあれば、速やかに付与して説明の機会を設けてください。
まとめ:スタッフが長く働ける環境が、お客様との長期関係を生む
労務管理の改善は、単なる「法律対応」ではありません。スタッフが安心して長く働ける職場は、離職率を下げ、顧客と信頼関係を築けるベテランスタッフを育てます。常連のお客様が「また来たい」と思うのは、料理の味だけでなく、スタッフとの関係があってこそです。
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